くまさんに出遭った
 ~2018北海道05

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この時期だからこんなものなのか、それとも地震の影響でキャンセルが出ているのか
20人ほどの乗客を乗せて、観光船はウトロ港を出港しました
  ほとんどの乗客は屋上デッキに上がってしまい
  後部デッキに席を確保したのはワタクシたち夫婦を含めて4、5名でした
  だから、ほとんど貸し切り気分

なかなかに船足が速くて、結構な加速感がありましたが
そのぶんエンジン音がうるさく
音が割れたスピーカーからの観光ガイドが聞き取りにくいのでした

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船は知床半島に沿ってグングン進んで行きます
このあたり、半島の海と接する部分は断崖が続き
なんというか海に台を置いて
その上に山や森のジオラマを作ったような感じです
だから川の水は台の上から
あるいは地面にしみこんで崖の途中の岩の隙間から
滝となって海に落ちて行きます
まさに海からしか見ることのできない景観です

ワタクシは心の隅で
「知床半島には、人がむやみに立ち入るべきではない」
と思っていますから
こうやって離れて観るのが納得というか安心というか
...歩かずに済むのが何より楽です(笑)

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乙女の涙、象岩、コケシ岩にワシの鼻
この地に暮らしてきた人々が名づけて根付いた呼称は
ロマンチックだったり俗っぽかったりもしますが
いずれも人がかかわった歴史の証です

どうもワタクシ、まるっきりの大自然というのはあまり興味はなく
人とのかかわりの中で、人の営みに対して感動する傾向があるようです
でも、前にも書いたかもしれませんが
知床というのは人の営みを跳ね返してしまった場所なのです
わずかばかりの浜にあるサケ漁の番屋など限られた場所は別にして
崖の上に拡がる山や森は、人間がいじってはいけない場所として
畏敬の念をもって海から眺めているべき
...なんじゃないかなぁと思ってしまうのです


なぁんて殊勝なことを思う反面、ミーハーな観光客でもあったりして (^^ゞ
船の上からヒグマが見られるんじゃないかなぁと期待して乗っているわけなんです
硫黄山コースの船からルシャコースの船に変更したことによって
その期待がますます高まっているんです
断崖で守られた知床半島も、ところどころ河口があって
そういう浜にはヒグマが出てくるそうなのです
で、ルシャ湾の浜では非常によく出没するというのですね

実は今回、おそらくここでしか使わないだろうなぁという
そして実際その通りになってしまったレンズを持ってきていました
ケンコーのテレプラス、MC7です
同じ型番のレンズは今でもあるようなのですが
これは40年ほど前に買ったペンタックス用
もともとのレンズの後ろにつなげて焦点距離を2倍にするものです
今使っているレンズが250mmまで伸ばせるズームレンズなので
これを装着すれば500mm、ただし今のカメラは受光素子が小さめのデジカメですから
昔の35mm判カメラに換算して800mmの超望遠レンズとして使えることになります
買った当時はキタキツネやタンチョウを撮ったレンズで
今度はヒグマを撮れればと持ってきていたのです
  40年前は150mmのレンズに着けていたから300mmにしかならなかった

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「あっ、ヒグマがいますねぇ」

スピーカーが発見の報を伝えると同時にエンジン音が静かになり
船はゆっくり陸に近づいて行きます
河口の脇にヒグマが一頭、いやもう一頭、さらに一頭
母熊と子熊が2頭なんだそうですが、魚を捕まえているようです
そう言われても最初は「えっ? どこ? どこ?」だったのですが
こちらも確認できました。なるほど母熊が銀色に光るものを咥えています
ううむ、昔の北海道土産の定番だった木彫りの熊の姿ですね

川を離れ、山に戻っていった親子を見送って
船は再びエンジン音を上げ、ルシャ湾を目指します
ここいら辺りまでは硫黄山コースの船もやって来る範囲で
景観を見ることが主目的でしたが
この先はヒグマを目撃することが目的と化した進み方になってきます
なにせ船会社のウェブサイトでも「ヒグマ目撃率」の統計が載っていて
毎日どの便で何人が見たかの詳細が判るようになっているほどです
ちなみにこの会社
半島の向こう側の羅臼ではホエールウォッチングの観光船を出してます

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頑張って探した甲斐あって、ルシャ湾でもヒグマに遭遇し
あぁこの船に乗って良かったなと夕陽を見ながらウトロ港に戻ってきました
ゴジラ岩も夕日を浴びて赤く色づいているぞ

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本日の行程はこれでおしまい
その日泊まった民宿は「皿数の多さで特色を出している」とかで
食卓にはぎっしりと皿や小鉢が整列していました

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