愛電ティティーの崩壊
2年ほど前に
東京電力柏崎刈羽原子力発電所に見学に行ったことがあり
あの日は天気が悪くて端折ったところもあったけど
それでもけっこう丁寧な案内をいただいたものでした
案内役の小父さんは、もちろんそれが仕事ですけれども
たくさんの具体的な数字を挙げて細かく説明してくれました
その中でも印象に残っているのは、ちょっと余談気味ではありましたが
某国のミサイルが建屋の外壁に命中しても
コンクリートが30cmくらい削れるだけだという話でした
そういえば、テレビでこんな映像を見たことがあったなと納得したっけ ⇒ YouTube
実は、3.11の際に東京電力福島第一原子力発電所の建屋が吹き飛んだ映像を見て
真っ先に頭に浮かんだのが、この小父さんの言葉でした
「だって、ミサイルにだって耐えられるはずだろっ!」
まさか内側から力がかかるとは想定していなかったかもしれませんし
そもそも柏崎刈羽と福島第一では基本的な構造が違っていたのかもしれません
それにしたって...そうだ、あの小父さんはどんな気持ちでこの映像を見たのだろう?
小父さんだって嘘をついたわけではなく
原子力発電所の安全性や必要性を心から信じて話していたんでしょうから
...ショックで寝込んだりはしてないだろうか
原子力発電所の事故以来、ワタクシにはこれが気になって仕方ないのです
設置の是非や賛否とは別の次元で
原子力発電所で誇りを持って働いていた多くの人たちがいます
また、事故の収束に向けて果敢に立ち向かっている人たちもいます
漏れ広がり行く放射能も心配ですが
この人たちの「ココロ」が壊れてしまわないかと
事故発生以来、ずっと気になっているのです
あんまり気になって仕方ないので
日本海ドライブに出かけた際
東京電力サービスホールに立ち寄ってみたのでした...
訊ねてゆくと、館内は静かで
まぁ鬼怒川や塩原のテプコランドのように観光地にあるわけじゃないですから
これが普通なのかもしれませんが
おそらく見学の予約をしてやってきただろうグループと
そちらには案内係が二人ついていて
是非見てもらいたいところが3箇所あるといって案内し
質問にも答えていました
事前予約もなくやって来たワタクシたち夫婦とカップル、家族連れが二組くらい
...キッズコーナーで遊んでいた子どもたちは、誰の連れだったのかな?
ワタクシは前にも一度来ているから、興味のあるところだけを見たり
グループで来ている人たちの後ろでガイドさんの説明などを聞いていました
こんなときにも
いや、こんなときだからこそ、なのかな
この場所がちゃんとオープンしていることに
安堵感を持ちました
経営層には都合の悪いこともあるだろうけど
この施設には正々堂々と原子力発電についての広報をして欲しいです
でないと、ここで働いている人だって厭な気分ですよ
...と書いたものの
さっき調べたら鬼怒川や塩原を始め、ほとんどのPR館は閉館したようですね
残っている数館も現在は休館中で
唯一、柏崎刈羽のサービスホールだけが営業中なんですって
しばらく前に
鎌田實先生の『なさけないけどあきらめない』という本を読みました
放射能被爆に「ここまでは安全」というのはありません
あるのは「ここまでは許容できる」というレベルであり
それは人によっても違うのです
俺は歳とってるから癌になるより先に寿命が来る、と自ら言える人もいるでしょうし
将来のある子どもたちにはわずかな量でも許せないと言う人もいると思います
鎌田先生は、それぞれのマルに近いサンカクを探ろうと主張しています
もう日本はそういう国になってしまったんです
3.11以後の日本で生きてゆくために
責任のなすりあいではなく
今の状態を早く改善する方向にベクトルを向けたいものです
コメント
トチロウ
柏崎のPR館に、なぜ福島民報が「ご自由にお取りください」
と置かれているのでしょうね?
PR館の近隣に、福島からの避難者が仮住しているのでしょうか?
まつお
▽トチロウさん
埼玉県行田市立図書館には「福島民報」「福島民友」の2紙が
福島県災害対策本部から週3回、寄贈紙として送付されてきます
図書館では
「被災地から避難されている皆様、被災地に思いをよせている皆様ご活用ください」
と呼びかけています
このPR館のは「ご自由にお持ちください」とあるので
東京電力が買っているのかもしれません(前日の日付でした)
実は、福島からこの地域に避難して転居している人が多いと聞いたことがあります
福島で原発関連の仕事をしていたので
知っている人や慣れている仕事がある柏崎や刈羽が暮しやすい...と
そういう意味ではトチロウさんの想像通りなのかも
いずれにしても、東京電力には耳の痛い話も載っているだろう福島の新聞を
原発推進啓蒙のパンフレットと並べて置いているのが印象的でした